第12章 逆ハ?なにそれハムのお仲間おいしいの?(黒尾誕生日★番外編)
「黒尾くん、やっくんもう着いちゃうかな?」
「どうだろ……俺が家出たとき、まだ準備してるようなこと言ってたからな」
「じゃあ今すぐ電話しよう」
とか言ってたらインターフォンが鳴った。
「夜久、来たんじゃね?」
「見計らったようなタイミング!」
ちょ、タイミングの神様いたら脳内フルボッコ。
いい仕事しすぎだろ。
「早く出てやれよ」
「うう、わかってらい」
ケーキ食べたかった。
ホールなんて贅沢は言わない、シンプルなショートケーキ1個でいいから食べたかった。
「やっくん、よく来たね。いらっしゃー」
「よ、ニャンニャン。遅くなって悪かったな」
ああ、私服のやっくん初めて見るけど今はじっくり観察する元気が出ない。
ケーキがなくて力がでないよ、助けてアンパンマ……ダメだあのキャラあんぱん1択だ。
「気にしなくて大丈夫だよ、黒尾くんも少し前にきたばっかりだしね」
「黒尾の誕生日祝いするっつったら、なんか色々持たされてさ。料理とかケーキとか」
「やっくぅううんん!!」
「うわっ、ぶね!!」
わたしは両手が荷物で塞がりノーガードなやっくんに飛びついた。
なんてことだ、さすがはやっくん。音駒バレー部のリベロだけはある、このフォロー上手め!
「ハイハイ近所迷惑。お前らさっさと中入んなサイ、見られたら体裁悪すぎるだろ」
「お、黒尾。それもそうだな……ほらニャンニャン、離れて先入れって」
「今はやっくんから離れたくない」
愛しのケーキちゃん。
中身はなにかな?楽しみだなぁ。わくわく。
「は?な、なに言ってんだよ?」
「どもってんじゃねーよ。夜久、ニャンニャンにケーキ渡してやって」
「ケーキ?……はぁ、そういうことかよ。ほいニャンニャン、ケーキ」
「うわーい!やっくん大好き」
「おうよ」
やっくんが差し出してくれた袋の中には小さめの白い箱がひとつ。
このサイズからいくと、ショートケーキ3人分ってところかな。
「大した物はなにもないけど、やっくん上がって?」
「ああ、お邪魔します」