第12章 逆ハ?なにそれハムのお仲間おいしいの?(黒尾誕生日★番外編)
「なるほど、収納スペースがないのは痛いな」
え、そっち?わたし的にはトイレの方が重要だったんですけど。
「食べ物はこのカウンターにでも置いといて?夏じゃないから腐らないよね」
「了解」
黒尾くんがビニール袋の中身を次々と並べていく。
焼き秋刀魚3匹、炊き込みご飯、大根1/2本、インスタントのカップ味噌汁3個、お菓子お菓子お菓子……なんだこのラインナップ。
「ねぇ黒尾くん、誕生日祝いの食事がこれでいいの?」
「人の好物までディスる気か」
「まさか。わたしが食べ物を否定するなんてあっちゃいけないことだよ」
そうじゃなくて。嫌いなわけじゃないしおいしいだろうなとは思うし、いつでも喜んで食べるけどなんていうか。
普通の晩ご飯ですね。
黒尾くんとやっくんが食事は用意しなくていいって言うから任せたけど、わたしもなにか買った方がよかったんじゃないかな。
例えばパッと見た目華やかハッピーな、ハッピーバースデーな…………やばし。
ケーキのこと忘れてた!!!
「なんてこったうっかりジーザス!!!!」
「ど、どうしたニャンニャン!なにがあった!?」
突然の叫びにビクッた黒尾くんが一応、心配そうに聞いてくるのを見て両手で顔を覆い隠す。
「わたしはもう、お前さまに見せる顔がありませぬ」
「なにキャラだよ。いいから、どうしたのか言ってみろ」
「け……ケーキ…………バースデーケーキのこと忘れてましたごめんなさい……!!」
誕生日といえばケーキなのに用意しないどころかその存在を忘れてたとか、なんて酷い友達なんだ。
ケーキに謝れ……いや、黒尾くんに謝れ。
「なんだよ、そんなことか」
「そんなことじゃないよ、大事件だよ。まともなプレゼントも無いのにケーキもなくてどうお祝いすればいいの?」
大好物の虎焼きいくらでも献上するから、今すぐ助けてトラえもーん!
「おい、さすがにプレゼントくらいは期待したかったんですけど」
「一応、考えてるネタはあるんだよ。まともなプレゼントじゃないだけで」
「ネタってなんだ、ネタって」
「ネタはネタだよ。やっくん来てから見せようと思ってたんだけど、先に……あっ!」
そうだよ、やっくん!
来る前にケーキ頼めばいいじゃないか。