第12章 逆ハ?なにそれハムのお仲間おいしいの?(黒尾誕生日★番外編)
「黒尾くん、ようこそいらっしゃいました。狭くて汚い我が家ではございますが、どうぞごゆるりとお寛ぎくださいませ」
「態度違いすぎて悲しくなってくるわ。プライドどこ行った」
なんとでも言いたまえ。
光り輝く宝の魅力には勝てないんだよ、役に立たないプライドは小旅行中です。
「とりあえず中に入りなよ、ちょうど片付けも済んだし。お誕生日飾りはないけどね」
「いらねーよ。まぁ、遠慮なく上がらせてもらうな」
来客の少ない……ほぼいないこの家にスリッパなんて上品な物はないので、そのまま上がってもらう。
黒尾くんの図体だと、ただでさえ狭い玄関がさらに狭く感じるな。
「黒尾くん、もうちょい縮めない?靴まで場所取りすぎなんですけど」
「無茶振りすんの早くね?まだ玄関入ってすぐだぞ。巻いていかないと話が進まねぇだろ」
「それもそうだね、ここは巻きでいこう。すぐそこはリビング……っていうか、そこしかない」
玄関入るとすぐ左手がリビング空間で、座り心地の良いソファーベッドとテレビやテーブルに小さい棚その他ゲームやノートパソコンなんかが置いてある。
仕切りのない右側は小さなキッチン仕様になっていて、小さい冷蔵庫とオーブンレンジだけが今は使われている。
「トイレとお風呂場は奥の右側、別々だから気にせず入れるよ。左はただの物置で、腐海と化してるから一般人は立ち入り禁止。禁断の果実に手を伸ばそうという勇気ある挑戦者求む」
「最後、意味不明すぎ。わかるように説明しろ、勝手に入るぞ」
「わたしの趣味と日用品を詰め込んだ部屋。本とか遊んでないゲームソフトとか服とか掃除機とかトイレットペーパーとか」
「せめてトイレットペーパーは別に置いとけよ。にしてもけっこういい部屋だな、家賃高いんじゃねぇの?」
「それが意外と良心的なお値段なんだよ。トイレが玄関から遠い間取りのせいじゃないかな?あと収納スペースがない」
冬場とか外から帰るとトイレがギリギリだったりするんだよね。