第12章 逆ハ?なにそれハムのお仲間おいしいの?(黒尾誕生日★番外編)
「ならいいよね。お金も食べ物とプレゼント代だけで済むし、わたしも誰かと家で過ごせるの久々で嬉しいしさ」
そう言ったら、やっくんが頭を撫でて飴玉くれました。
最近よく飴ちゃんくれるよね、どうしたの?おいしいから貰うけどたまには違うお菓子ぷりーず。
「黒尾は俺が必ず脅してでも説得してやるから安心しろよ」
わあ、やっくん頼もすぃー。
……誕生日のお祝いなのに脅されるってどんな地獄への招待状だろう。
可哀想だから、いつもよりほんのちょっぴり隠し味程度に優しくしてあげよう。
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家に帰ってから着替えて適当に掃除機かけたりしてたら、そう時間が経たないうちにインターフォンが鳴った。
「どちら様ですか」
『わたくし本日、夜久衛輔様のご紹介で参りました黒尾鉄朗と申します』
「少々お待ちください」
相変わらず変なノリをかましてくる黒尾くんは普通にスルーして、玄関を開ける。
「いらっしゃー。よくきたね、明日の主役さん」
「明日に限定すんな、土産持って帰るぞ」
「いつでも食べ物につられると思うなよ」
「へぇ……んじゃ、我が家の炊き込みご飯は夜久と二人で食うとするか」
黒尾くんが手荷物のビニール袋をひょいと持ち上げてみせる。
「それってこの前、黒尾くんのお弁当に入ってたやつ!?」
「そう。ニャンニャンがえらく気に入って弁当奪う勢いで味見したアレですよ」
まじですかああ!あのときの炊き込みご飯、本当においしかったんだよ。
色んなキノコや山菜が満遍なくご飯に混ぜられていて、大きな栗があちこちから宝のようにごろっと発掘される。
おまけに表面には焼き秋刀魚をほぐした身がこれでもかというほど贅沢にのせられていて、一緒に食べるともう口をもぐもぐするのがやめられない止まらない。
それでつい黒尾くんのお弁当を強奪しそうになったんだけど、機転をきかせたやっくんからの唐揚げアーンで事なきをえた。
やっくんちの唐揚げ最高、まじリスペクト。
お肉と野菜炒めに関しては夜久家がいちばんですな。