第11章 ぼくらのサイド再度ストーリーは突然に
にこにこ笑顔で頭をくしゃり撫でてくれる海くんは、安定のイケメン。
そのうち彼女さん紹介してください。どんな女の子が海くんのハートを射止めたのか、めっちゃ気になる。
「……おれも帰るから」
「えええ!?」
海くんの背中を手を振り見送れば、今度は孤爪くんが黒尾くんの後ろからスッと静かに前へ出ていく。
咄嗟にやっくんから離れて、隙だらけの背後から孤爪くんの腰に抱きついた。
「っ……なに、ニャンニャンさん」
「一緒に行こうよ孤爪くん!黒尾くんとやっくんがご飯奢ってくれるから!」
「興味ない」
「俺たちをダシにすんな」
「バッサリ切られたな」
「じゃあゲーセン行こう!先月稼いで余裕あるから、おねーさんお小遣いはずんじゃうよ?」
「いらない」
「必死か」
「嫌がる女子高生に無理やり援助交際迫ってるオヤジみたいだな」
後ろの2人まじうるさい。
誰が中年オヤジだ、必死で悪かったな。孤爪くんと遊べる機会なんて今までなかったんだからしょうがないじゃないか。
去年は孤爪くん受験生だったし……ゲーム内ではほぼ毎日一緒に遊んでたけど、ね。
両腕でぎゅうぎゅう孤爪くんのお腹を絞めつけていると、上から小さな溜め息が降ってきてさすがにちょっぴり申し訳ない気持ちになる。
……ごめんね孤爪くん、でもなんていうか………もうちょっときみの体を堪能したい。
前から想像していたとおり腰細い!筋肉もまあまあついてて、この硬すぎない発展途上な抱き具合さいこー!
「ニャンニャンさん……ちょっと、離れて」
「嫌です」
あと5分、延長お願いします。
即答すればもう一度聞こえた溜め息、それからぎこちなく頭を撫でてくる感触に驚いて顔を上げる。
「孤爪くん……今、頭撫でた?」
「知らない」
「なに照れてんだよ、研磨ァ。俺はしっかりこの目で見たぞ」
「クロうるさい、一生黙って」
「無茶言うな」
そんな幼馴染みのやり取りをBGMに、わたしは孤爪くんの腰から両腕を離すとやっくんに突撃した。
「やっくぅうううん!」
「っと!」
難なく受けとめてくれた頼もしいやっくんの胸元に顔を埋めて、そのまま深呼吸する。
あー…やっくんは落ちつくなぁ。
微かに汗の匂いもするけど全体的にほんのりいい香り、くんくん………じゃなかった。