第11章 ぼくらのサイド再度ストーリーは突然に
「ニャーちゃんには、これくらいが丁度いいんです。研磨もあんま甘やかすなよ?こいつ、ちょいちょいやらかすから」
黒尾くんには言われたくない。
「それは知ってる」
孤爪くんまで!?
なんだか音駒に入学してから、孤爪くんのわたしに対する言動が日に日に厳しさを増してきたような気がする。
前より距離が縮んだおかげで、猫をかぶれなくなってきたからなぁ。
まあ口数も増えてくれたし、それだけ仲良くなれた証だと思えば………え、仲良くなればなるほど容赦なくなるの?いずれはツンドラになっちゃうの?
「なにその耐久ゲー!?」
ハッピーエンドが見えてこない。
いきなり叫んだわたしをみんなが驚いたように見るのもかまわず、衝動のままに泣きつこうと孤爪くんの方へ足を踏み出したら、両サイドから黒尾くんとやっくんにそれぞれ腕をガシッと捕まえられた。
絵ヅラ的にはまるで囚われた宇宙人だ。
「ドサクサ紛れて研磨に何しようとしてんだ?ニャンニャン」
「……いや、ちょっとスキンシップでも図ろうかと」
「ニャンニャン、後輩ビビらせんな。おとなしくしろ」
「ビビらせてなんか……」
……あ、はい、ごめんなさい。
孤爪にゃんこが毛を逆立ててちょー警戒してる。悪気はないので許してくださいそんな目で見つめないで心に刺さる。
俯いてしょんぼりしたら捕まれていた両腕を解放されたので、孤爪くんをハグするのは諦めてやっくんの腕にぎゅっとしがみついた。
こうなったら、やっくんで癒されよう。
「海はそろそろ時間だろ、また明日な」
「えっ、海くん帰っちゃうの?」
思わず黒尾くんと海くんを交互に見上げる。首の角度おかしいよ、キツイ。
「これから彼女と会うんだとさ」
羨ましそうだね、やっくん。わたしも同意見だけど、今きみの腕にくっついている女子がいることをお忘れですかな?ん?
もっと嬉しがってくれていいんだよ。
「やっくん、わたしも女子なんですけど」
「ん?そうだな」
だから、なんでたまに鈍いのやっくん察して!黒尾くん含み笑いすんな気づいてるからな?孤爪くんは…………ノーリアクション。
それいちばんキツイやつ!
「スマンニャンニャン、また今度な」
「ううん、いいよー。デート楽しんでください。またね」