第10章 ロングとショートの間はボブさん
じゃあまた明日、ニャンニャンさんの髪楽しみにしてる。そう言って友達の元へ戻って行った海くんはやっぱりにこにこしていた。
「……神か…いや仏か」
やだイケメンスペック高すぎこわい。ほんとに高校生?
・。・゜・。・゜・。・゜・。
「そういえば最近、海くんと話してないなー……休み時間にわざわざ別クラ行くのもなんだしなー……ねえ黒尾くん、海くん元気?」
「おー。毎日にこにこバレー部に来てるぜ」
仏の海は今も健在か………なにその二つ名かっこいい。
「あ。俺この間、海の彼女見た!偶然だけど」
「マジかやっくん!どうだった?可愛い?美人?大和撫子?
気になって机に手をついて前へ身を乗り出すと、驚いたようにやっくんは少し顔を引いた。
あ、ごめん。ちょっとばかり顔が近すぎた。勢いつきすぎて事故ちゅーしちゃうところだったよ。
「ニャーちゃん、俺ならいつでも受付中ですよ」
「黒尾くん、喜ぶからつまんない」
おいで。と言うように両腕を広げ、エセ爽やか笑顔でスタンバってる黒尾くんの手を軽くぱちんと叩いて遠慮する。
わたしはもっと可愛らしい反応を求めているのだ。初々しさを拾ってこい。
「つまんねーとはなんだ。楽しませてやるから、いらっしゃい」
「ええー…なにする気?」
「ナニする気」
今絶対、文字変換なんか違ったよね。真顔で言うなし。
隣の黒尾くんから距離をとるように席を立つと、やっくんの背中にぴっとりくっついた。
あ、髪ふわっふわー。いい匂いするー。
「やっくん、黒尾くんが変態…違った、大変」
「明らかにわざとだろ」
「黒尾は下ネタやめろ」
やっくんが机の下で、黒尾くんのムカつくほど長いはみ出た足を軽く蹴った。
やっくん、すぐに足が出るよね……足技得意なの?