第8章 後悔は先に立たないのにやっちまうことは多い(後編)
「っ…!」
びくっと体を震わせる振動が掴んだ孤爪くんの手首から伝わってきて、視線をお菓子から上げる。
「……あげるから…手、離して…」
困ったように寄せられた眉。
一瞬ぶつかって逸らされた瞳は、落ちつかなさげに揺らぎ。
日焼けしていない白い肌がしだいにうっすらと赤く色づいて………ごくり。
思わずノドを鳴らした。
このこ男の子だよね、まだ15歳の少年ですよね、わたしより色気あるってどういうことかな?
ああ、孤爪くんだもんね納得。
「……ニャンニャンさん?」
「孤爪くん、色白だよね」
「え」
「赤くなると、すごいよくわかる」
「っ………からかってる?」
「本気と書いてマジと読む」
「なにそれ」
ジト目いただきました。
「からかってないよってこと」
あああもっとこの可愛い姿を堪能していたいけれど、やっとなついてきてくれた彼に嫌われることだけは避けたい。
残念に思いつつ、ぎゅうっと握りしめていた孤爪くんの手首を解放してあげたら、ほっと息を吐いて肩の力を抜いたのがわかった。
「……じゃあ、もう行くから」
「えっ、お菓子は!?」
くれるって言ったじゃんくれるって!ぎぶみー………えーと?英語でお菓子ってなんだっけ?
「ふざけたから、もうあげない」
「えええっ」
そんなっ……おいしく食べた後は綺麗に洗って乾燥させた袋を家宝として保管するつもりだったのに!
うっかり黒尾くんややっくんと絡むノリで話しちゃったよ。
あの二人と無気力脱力孤爪くんとじゃ属性違いすぎだというのに会話ミスったシット!