第4章 WELCOME TO NEKOMA HIGHSCHOOL
「いらっしゃいませー」
店員モードで声かけしながら手招きすれば、きょろ…と店内に視線を巡らせてからゆっくり歩いてきてくれた。
その様子はまさに警戒心の強い猫みたいで、頭の中いっぱいににゃんこコールが響いて鳴り止まない。
「こんにちは、孤爪くん」
「……こんにちは。いると思わなくて驚いた」
「だろうね、さっきの顔とかスマホに保存したかったよ」
さらりと本音を冗談めかして言えば、やめて…と実に嫌そうに眉をひそめて呟かれる。
そんな表情もかわいいなぁ、なんて思うわたしは他の人いわく『感覚が女子高生じゃない』らしいが女子高生でなければいったいなんだと言うのだ。
お?十五文字以内で簡潔に答えよ。
だいたい孤爪くんをかわいいと思わない方がどうかしていると言いたい。
まぁたしかに?身長はわたしより余裕で高いのに猫背気味でめちゃくちゃ人見知りな上におとなしいから地味で目立たない印象だし常に俯きがちだから長めの前髪が顔を隠して暗く見えるかもしれないけど。
ひょろっと頼りなさそうな体にはパッと見わかりにくいけれどほどよい筋肉がしっかりついてるし慣れれば視線も合わせてくれるしきちんと会話してくれるしゲームに関してはむしろ饒舌なくらいで意外にも嫌なことは嫌ってはっきり言うし普段隠れ気味の顔もつりあがった猫目と小さいけど形のよい鼻とお口がバランスよく整っていて実はそう悪くない顔立ちをしているし。