第4章 WELCOME TO NEKOMA HIGHSCHOOL
「いらっしゃ……あれ〜?ニャーちゃん、今日シフト入ってた〜?」
のんびりとした声に違わぬやわらかな空気をもつ年上のバイト仲間が、まるで幼い子供のように首を傾げてみせた。
ついさっき引きしめたばかりの口元が、再びニヤけてくる。
ああ、今日も安定の癒し系。
「お疲れ様です。休みなんですけど、気になることもあったのでご飯買うついでに来てみました」
「ご飯?一人暮らしだったよね〜。自炊しないの?現役女子高生さん」
「自炊?いやいや……あんなもの食べたらお腹壊しますよ」
今どきの女子高生を舐めないでもらいたい。この16年という短い人生において、わたしの両手は料理という名の劇物を作り出してしまう業を背負っている。
この手の封印を決してといてはならない…死者がでる、とまでは言わずとも高確率で食べた人の病院行きが決定してしまう。
……なんて、わかりやすく厨二的な表現までしてみたけど実際ほんとそんな感じだから笑えない。
事実は小説よりも奇々怪々なり。
「料理苦手なんだね〜、かわい〜」
「いえ、まぁ……」
かわいいのはあなたです!…拳を握り、世界の中心で叫びたい衝動はひとまずぐっと抑え。
もはや苦手なんてレベルではない料理の腕前については、あえて恥をさらす必要もなかろうと言葉をにごしておいた。
かわい〜とか言ってくれるこの人の夢や希望をわざわざ粉砕するほど、わたしはSでもなければ蔑まれて喜ぶMでもない。
あえて言うならノーマルでナチュラルでニュートラルなNだ!ニュータイプだ!きゅぴーんっ………うん、テキトーぶっこきました。とくに意味はない。
そしてノープランに最後フザけました。ごめんちゃい。