第1章 ~春~ 4月
「今日は私にも連れが居るんだ。先日の奪還作戦で、随分無理をさせてしまってね……息抜きには花が必要だろう?」
「なんですかそれ、私はそういうお店の女の子じゃないですよ」
「これは失敬。ちょっと言い方が悪かったね」
エルヴィンは申し訳なさそうに眉を垂れさせ、再び口を開く。
「私も一度、君とゆっくり話をしてみたかったんだ。ナイルの愚痴を色々聞かせてくれないか?」
「そうですね……そういう事なら是非」
「おい待て、なんで俺の愚痴が決め手になってんだ?」
「私も一度、師団長の事でエルヴィン団長とお話してみたかったので」
それを聞いたナイルは、心底不機嫌そうに旧友と部下を見やった。
思わずエルヴィンと笑い合う。
この空気がとても心地よい。
不思議と落ちつく心を感じながら、夜は何を着ていこうか?なんて考えを巡らせていた。