第4章 ~冬~ 12月
「えっ!?」
心臓が、ドキリと音を立てる。
最後のページに、1枚の紙が挟まっていたのだ。2つに折りたたまれたその紙を、恐る恐る手に取る。
最初に抱いたのは
『彼が私に手紙を書いてくれたのかな?』
という淡い期待。だが……
「少し古いよね、この紙」
真新しさは感じない。数年は経過しているだろう。
見ても……良いのだろうか?
何かが綴られた紙を手に、なんだかいけない事をしている気分になる。
「見なきゃ分からない……もんね?」
得体の知れない罪悪感を感じつつ、エルはそっと……
それを開いた。
「……これっ!」
それは、想定外の物だった。
心臓は大きく鳴り
頭を鈍器で殴られたような衝撃がはしる。
丁寧に綴られたこの文を
彼は見たのだろうか?
いや、見てはいないだろう。
だって、目を通したのなら彼は抜き取る筈だ。私の手紙をそうしたように。
『彼女は……もう居ない』
リヴァイの悲痛な声が、脳裏に響く。
「どうしよう、私……この手紙……」
自然と溢れる涙で、視界がぼやけた。
「なんで私のところにっ……なんで……」
私が手にしたのは……
リヴァイがかつて愛した女性が綴った。
少し、不器用なラブレターだった。