第4章 ~冬~ 12月
「エル、今日はリヴァイから預かっている物があるんだ」
「えっ!?本当ですか?」
「おいおい。未練タラタラの女に、それは不味いだろう」
「師団長、ちょっと黙っててもらえません?」
眉を寄せたナイルを横目に、エルヴィンから1つ袋を受け取った。それは、ずっしりと重い。
「これは……」
固くて四角い物がいくつか入っている。
なんとなく、中身が分かった。
「君から借りていた本と、その他は君にやると言っていた」
「頂いていいんですか?」
「あぁ、もう読まないからと。でも君が気に入る物ばかりだろうね」
クスクスと笑うエルヴィンの顔は、とても穏やかで。私も自然と笑顔になれた。
「ありがとうございます。大切に読むとお伝え下さい」
本当は、手紙でも書いて直接お礼を言いたいが……きっと、迷惑になるだろうから。そこはちゃんと引く。
彼の重荷にはなりたくない。
「おい、みっともねぇ女にはなるなよ。本を見る度、彼を思い出すの!とか言い出したら燃やすぞ」
「エルヴィン団長、この上官なんとかしてくれませんか?」
「そうだね。どうもエルが心配で仕方がないようだ」
楽しそうなエルヴィンと、少し不満そうなナイル。
「調査兵団はいつも俺に気を揉ますよな」
「お前にしか頼めない事が多くてな、感謝しているよ」
私は2人の、こういう何気ない会話が好きだ。
目には見えない信頼関係。
とても素敵だなぁ……と、いつも思う。