第4章 ~冬~ 12月
執務室の窓から見える景色は、多くの色彩を失った。
青々と葉を茂らせていた木々は、全ての葉を落とし。
街を行く人々も、落ち着いた色のコートを揃って身に纏う。
出会った頃は良かったなぁ。
なんて、春に想いを馳せてみても。
その行為は、何の意味も成さない……
「エル、今日も元気がないね」
「……エルヴィン団長」
1ヶ月ぶりに顔を合わせたエルヴィンが、眉を垂れさせ私の様子を伺ってくる。
「ほっといてやれって。こいつはリヴァイにフラれて落ち込んでるだけだ」
「清々しいですね。遠慮も何もなくて」
ナイルの言葉をひらりとかわす。
いちいち相手にもしていられない。
秋
あの日。
どうやって彼と別れたのか覚えていない。自室の扉を開けると、友人は私を見てひどく驚いた。
廊下を歩く途中、ようやく流れ出した涙。駆け寄る彼女の腕の中、私は声を上げて泣いた。
翌朝。
私は普段通り、彼へ本を差し出した。
目を丸くしてリヴァイが受け取ったそれには、当然私の気持ちが挟まっている。
『貴方に幸せになって欲しい』
それだけ。
付き合って欲しいとか。そんな事は元々思っていなかったから……
突き詰めれば、私の想いはそれだけだった。
そして、その日を最後に。
先月も、今月も。彼は私の前に姿を現さなかった。