• テキストサイズ

【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】④忘れた頃に

第3章 ~秋~ 10月


季節は廻って肌寒くなった。

いわゆる落葉樹は色を変え、葉を落とす時を今か今かと待っている。

エルは執務室の窓からその姿を眺め、思考を巡らせていた。







本を貸す約束をした翌朝
緊張しながら渡した1冊の本。
そのまま渡すのもなんだから、小さな紙袋に入れた。

気の利いた差し入れでも一緒に入れられたら良いのだが、生憎そんな物は持ち合わせていない。

仕方がないので、ペンを取る。

食事のお礼と、楽しかった事。くれぐれも体調に気をつけて欲しい。と綴り、本の最後のページに挟んだ。

最初のページじゃつまらないと思ったから。

今日の出来事を、忘れた頃に読んでほしい。





翌月、リヴァイは本を片手に姿を見せた。

「面白かった」と話す彼は、お礼だと言って私に紅茶を差し出した。受け取る時、わずかに指同士が触れる。

たったそれだけの事で熱を帯びる自分は、あまりにも単純で。

単純な私は、他にもいい本はあるか?との問いに即答する。

「あります」と。

そして再びペンを取る。
返ってきた本からは手紙は消えていた。きっと、受け取ってくれたのだと思う。


さっそく頂いた紅茶は美味しくて、大切に飲む事。今回は仕事が立て込んで、あまり話せなかった事。次はもう少しお話出来たら嬉しい事。


不審に思われない程度に、自分の気持ちを綴って。


今回はどうしようかと思い……


最初のページに挟んだ。


話せなかった分、
この気持ちを早く伝えたかったから。
/ 58ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp