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【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】④忘れた頃に

第2章 ~夏~ 7月


「はい、お待ちどうさま!」

「エルちゃんいらっしゃい、邪魔しちゃってごめんなさいね。ゆっくりしていってね」


髪が可愛くなったと報告する女の子を、彼女の父親が抱えた。

その様子を目で追っていると奥さんが「デザート付けたから食べてね」と、他のお客さんに聞こえないよう小声で教えてくれた。

プレートにはプリンが添えられている。

……普段はない物だ

慌ててお礼を言う私に3人は「ごゆっくり」と言い残し、厨房へ消えてゆく。父親の肩越しに手を振る女の子が、たまらなく可愛いかった。


そして、残されたシチューからのぼる暖かな香り。


「食べましょうか!」

「あぁ」


そんな短いやり取りの後、2人でスプーンを手に取る。

やがてシチューを口に運んだリヴァイが「美味いな」と言ったから。


私は心底、ほっとした。


食事をしながらの会話は、互いのプライベートについて。

ここで新たに知ったのは、彼が『綺麗好き』だという事。調整日には家具を移動させてまで、念入りに掃除をするらしい。


「え、それって身体休まるんですか?」

「お前もそれを言うんだな」

「みんな思う事は大抵同じですよ」


そして私はといえば、最近読んだ本の話をした。

街で話題の本。どうしても欲しくて買ってみたら、期待を裏切らない内容だった。

リヴァイは恋愛小説でなければ、何でも読むらしい。

「読みやすくてオススメです」と伝えると、その流れで彼に貸す事になった。


本の貸し借り。そんな小さな約束が嬉しい。

じわっと、心が温かくなった。


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