第2章 ~夏~ 7月
そちらを見やれば、私の真後ろに小さな女の子。私と仲良くしてくれている、この店の娘さんだ。
「エルちゃん。あそぼー」
「びっくりしたぁ!久しぶりだね。ここ座る?」
リヴァイにも目線で了解をもらい、女の子を隣に座らせた。
「このバック素敵だね、中には何が入ってるの?」
「あのね、ママにもらったの」
彼女が大事そうに抱えているバックには、ネックレスや指輪・髪留め・ブラシなど、女の子には堪らない品々が沢山詰まっていた。
「これ可愛いね、髪の毛可愛くする?」
「うん!やってやって!」
ブラシと髪留めを手に取り、彼女の髪をといてゆく。幼い子供の髪は柔らかく、ふわふわとした肌触りが気持ちいい。
自然と口角が上がった。
「お前、子供好きなのか?」
「子供ですか?好きですよ。訓練兵団に入る前は友達の妹や弟と、こうしてよく遊んだものです」
リヴァイの問いに答えれば、彼は「あ?」と変な声を上げた。
「……もしかして意外でした?」
「いや……」
歯切れの悪い言葉にショックを受ける。
まさか、ただの仕事人間だと思われてはいないだろうか?
これでも子供は好きだし、友達と遊ぶのも好き。可愛いものを見れば欲しいと思うし、アクセサリーにだって憧れる。
「あのね!エルちゃんは優しいお姉ちゃんだよ」
女の子がリヴァイへ向け言った。
傷ついた直後なだけに『優しい』と言われた事が物凄く嬉しい。
「そうだな」
「しってるのー?」
「あぁ、知っている」
「そうなんだ!」
ニコニコと笑う彼女にリヴァイが歳を聞く。
「3さい!」
さすが商売人の子だ。人見知りもせずにリヴァイと普通に話している。そして彼もまた、以外にも会話を楽しんでいるようだ。
2人のやり取りは、聞いていて面白い。
やがて女の子の髪が可愛くまとまった所で、彼女の両親が食事を手にやってきた。