• テキストサイズ

【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】④忘れた頃に

第2章 ~夏~ 7月


「おいっ、もう少しゆっくり歩け」

「どうかされました?」

「……お前、脚悪いだろう?」


眉間にシワを寄せ、怪訝な顔をしている。これはきっと心配している表情なのだろう。

お礼の言葉を添えて「大丈夫」だとアピールすれば、彼は呆れたような。安心したような。まだ私には判断しきれない表情をした。


もっと彼を知りたいな。そんな思いが強くなると共に……


「……今から行くお店、お口に合えば良いのですが」


突然、そんな不安に襲われた。
よくよく考えてみれば、彼の食事の好みなんて分からないのだから。


「お前が通ってる店だろ?」

「でもほら、サンドイッチを口にされなかったと……」

「貴族からってのが気に入らねぇだけだ」


吐き捨てるような言葉と共に、思い切り顔をしかめたリヴァイ。
その表情は少し意外で、エルはクスクスと笑った。

彼は人として出来上がっている印象があっただけに、人間味溢れた言葉やしぐさが新鮮だ。


「だらしねぇ顔しやがって」


笑う私にきつい言葉が飛ぶ。


「兵士長もお顔崩れてますよ」

「てめぇ……言うじゃねぇか」


和やかな空気に甘んじて悪態をつけば、彼はふっと笑った。

知らない事は沢山あるのに、話していると楽しくて。


……目指す店がもっと遠くにあれば良いのに。


そんなズルい考えが私の脳裏を掠めた。


「お店が見えましたよ、あのグリーンの看板が目印です」


歩き馴れた道の先に見えたのは、穏やかなご夫婦が経営されている小さな食堂。

目的地は、すぐそこに……
/ 58ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp