• テキストサイズ

【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】④忘れた頃に

第2章 ~夏~ 7月


リヴァイに連れられ部屋を出た後。


『30分後に兵舎前に伺いますね!』


エルはそう言い残し、自室へ急いだ。

数少ない私服を前に、どれにしようか思い悩む。プライベートであっても、リヴァイの方が立場が上だ。あまりカジュアルな服装はダメだろう。

手に取ったのは、シンプルな白いシャツと無地のスカート。失礼に当たらないよう、薄めの化粧を施していく。

そして、鏡に映った自分は悪くはない。だが……

無難だ。ものすごく。


「まぁ、しょうがないよね」


ここは、シンプルに纏めて行くべきだろう。


集合10分前


エルはバッグを手に取り、部屋を後にした。


はやる気持ちを抑えながら廊下を、階段を、そして玄関を抜け外へ踏み出した時だ。 


「おい」

「うわッ!!あれ……なぜここに?」


エルの死角。玄関の真横にリヴァイは立っていた。しかし待ち合わせは、彼の泊まる男子棟の前だった筈だ。


「もしかして、お待たせしてしまいましたか?」

「気にするな。今来たばかりだ」


これは迎えに来てくれたのかな?なんて思うと、少しの距離でも嬉しくて。

リヴァイを見やれば、彼も私服に着替えていた。袖を通した黒のジャケットがとても良く似合っている。

同じようにこちらを伺っていた彼と、ふいに視線が合う。


「ジャケットお似合いですね」

「……お前も悪くない」


褒めてみれば視線を落とすリヴァイ。少し恥ずかしそうなその姿は、なんだか可愛い。

「行きましょう」と発した言葉は、自分でも分かる程に踊っていて。

踏み出した一歩は、想像以上に軽かった。

/ 58ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp