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【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】④忘れた頃に

第2章 ~夏~ 7月



それから程なくして。給湯室から戻ったエルは、淹れたての紅茶を卓上に並べた。

3つのカップから湯気が登る。


「おいエル、どこか美味い店知ってるか?」


なんの脈絡もない言葉をかけてきたのはナイルだ。いや、話の流れはあったのだろうが、今部屋に戻ったばかりで把握できない。


「食事ですか?」

「リヴァイがまだ食ってないんだとよ」


エルヴィン団長に事のあらましを聞けば、調査兵団に好意的な貴族が『移動中に』と、サンドイッチを差し入れてくれたそうだ。
しかし、リヴァイはそれを口にしなかったという。


「そうですね。よく利用する食堂なら近くにありますよ」


そう答えてからは、話が早かった。
エルヴィンとナイルがあれよあれよと話を進める。


「しょうがねぇなぁ。エル、お前今日はもう上がれ」

「え!?いいんですか?」

「その代わりリヴァイを店まで連れてってやれ。ちゃんと着替えて行けよ?サボってると思われるからな」


思わぬ展開にリヴァイの様子を伺うと、彼は紅茶を口にしながらナイルを見ていた。


「リヴァイ、こいつでも何か役に立つだろう。連れてけ」

「……いいのか?」

「今日はそんな忙しくねぇからな。まぁ、お前がエルより男の憲兵の方が良いってなら話は別だが?」


ニヤニヤと笑うナイルの言葉に、リヴァイは思い切り眉をしかめ……ソファーから立ち上がると、エルの手を取った。


「借りるぞ」


リヴァイはナイルにそう告げると、彼女を連れ執務室の扉を開けた。


「え!?あっ、お疲れ様です!」


突然の退勤。そしてリヴァイと『手を繋いでいる』という事実に、閉じゆく扉の向こうへ、それしか言えなかった。


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