第2章 ~夏~ 7月
「……っ!!」
頬に彼の体温を感じた瞬間、あの夢と目の前のリヴァイが重なった。
駄目だ……色っぽい……
一気に顔に登る熱を感じながら、何か言おうと口を開くが……何も言えない。
「リヴァイ、気軽に女性に触れては失礼だ」
「っえ!?いや、そんな事ありません。ご心配いただきありがとうございます!」
団長の一声で勢いよく一歩下がった。
『問題ない』と両手をブンブン振ってみせる。
「あぁ、そうだな……悪かった」
「謝らないでください!お気遣い頂き嬉しいです!」
バツの悪そうな兵士長と、申し訳なさそうな団長。2人共そんな顔をしないで欲しい。
この場で最も不謹慎なのは、何を隠そう私自身だ。
でも……こうもサラッと触れられると、ドキドキしてしまう。
「おいリヴァイ、やめてやれって。こいつは男に免疫ねぇんだ」
「師団長!?何言って……」
「先週はコイツ、若い憲兵に言い寄られててな。ガキみてぇに顔真赤にして……」
「なんで知ってるんですか!覗きですか!?」
たまたま見たと主張する上官に、エルは厳しい視線を向ける。
「……だからって、今言わなくてもいいじゃないですか」
「今言った方が、面白いだろう?」
そう言って、ナイルは客人に目を向けた。
エルヴィンは穏やかに笑い、リヴァイは怪訝な顔をしている。
「エルは魅力的だからね。その憲兵の気持ちが分かるよ」
「やめて下さい団長……褒めても紅茶しか出て来ませんよ」
「では、それを頂こうか」
エルヴィン団長と視線を合わせ、そして笑った。