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【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】④忘れた頃に

第2章 ~夏~ 7月


「だからって、あんな夢を見るなんて……」


エルは小声で呟き、手にした書類で顔を覆った。


異常だ


いくら彼が気になるからって、あんないやらしい夢を見るなんて。
肩を落とし、小さくため息をつく。


「……兵士長の顔、見れる気がしない」

「あ?なんか言ったか??」

「いえいえ、独り言です」

「なんだ?気持ちわりぃな」


その時。執務室のドアがノックされた。

コンコンッと軽快な音に、腰を下ろしていた椅子から勢いよく立ち上がる。


「エルヴィン団長、リヴァイ兵士長がお見えになりました」


ドア越しの憲兵の声に、ナイルが入室の許可を出す。

ゆっくりと開かれる扉を、エルは緊張した面持ちで眺めた。


「よう!2人共よく来たな」

「お待ちしておりました。エルヴィン団長、リヴァイ兵士長」


上官と共に、仕事用の笑顔を張り付けて挨拶した。

我ながら何の動揺も感じさせない、素晴らしい声色だ。

息をするように出てくる言葉に、この仕事も板に付いてきたな。と感じる。

そう、この調子だ。
このままいつも通り、普段どおりでいい。


「リヴァイ兵士長、お元気でしたか?」


自責の念を断ち切るように、あえてリヴァイへ声を掛けた。彼の視線が、こちらを捕らえる。


……よし、全然大丈夫だ


そう思った時。


リヴァイの手が、エルへと真っ直ぐに伸びた。右手で頬を包むように触れ、親指で目の下をなぞる。


「お前、寝不足か?」


様子を伺うように覗き込まれ、エルは固まった。

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