第2章 【Forever mine〜after story〜】
「何もお構いできなくてごめんなさいね。」
そう言って差し出されたコーヒーは
恵麻やシゲのそれとは違い、
静かに、机に置かれて。
「今、連絡をとりますから、
少しお待ち下さいね。」
「はい、お手数おかけしてすいません。
お願いします。」
返事がわりに微笑んで席を外し、
キッチンの方から通話してるであろう声が
漏れてくる。
その電話口の相手が
8年間恋い焦がれてきた恵麻。
その事実だけで手が震えてくる……。
*
「増田さん?
恵麻は夜勤明けだったみたいで
今朝帰ってきて今まで寝てたみたいなんです。
今から準備するそうだから、
2時間後にうちのお墓で待ち合わせたい
って言ってるんですけど…
お時間大丈夫かしら?」
「はい、勿論です。」
「少しでも可愛い自分で
貴方に逢いたいのかしらね。笑」
いやいや、お母さん。笑
初対面だけど、そこはツッコませて!w
恵麻のことだから、
少しでも部屋を片付けたいんじゃ…笑
あぁ!!
でも、本音を言えば
散らかっててもスッピンでもいいから
早く……
早く逢いたい…!
「お待たせする上に
なんか、再会にそぐわないような場所で
待ち合わせるなんて…ごめんなさいね。」
「いえ、僕も。
僕も、そこで待ち合わせたかったので。」
「あら、2人だけの秘密なのね。素敵…。」
「あの……恵麻さんのお母さん。
無理を承知でお願いがあるんですけど…。」
*
「じゃあ、気を付けて下さいね。
増田さん。不束な娘ですけど、
恵麻を…よろしくお願い致します。」
「僕の方こそ、よろしくお願いします。
本当に、いろいろとありがとうございました。
無理なうえに…失礼にあたる
お願いまできいていただいて。」
「いいえ。むしろ、安心しました。
増田さん。娘に出逢ってくれて…ありがとう。」
「いいえ、僕の方こそ…。」
「ふふっ。次に逢うときはきっと、
主人も一緒ね。
緊張するなと言っても緊張するでしょうから、
一生に一度のことだとタカを括って
思いっきり緊張していらっしゃい!笑」
「はい!笑」
オレを待ち合わせ場所に降ろしたあと
1つ、クラクションを鳴らして
恵麻のお母さんは帰っていった。