第2章 【Forever mine〜after story〜】
出会いは偶然だったけど…
タクシーの中での会話は
確実にオレを勇気づけてくれた。
でも、名字を言うだけで辿り着けるなんて
やっぱ、恵麻ん家って相当じゃんか…。
しかし、そういうヤリテのお父さんなら
娘さんを下さい!的な挨拶、
更に緊張するよなぁ~。
って、恵麻がホントに独り身かも
わからないのに
こんなめでたい妄想してる場合じゃない…か。
"いざっ!"
インターホンを前に
感じたことのないくらい
緊張してるオレがいて。
「えっ?!あら?あらあら!
ひょっとして…まっすーさん?」
犬と散歩中の女性から話しかけられる。
「あ、そう…です、こんにちは。」
「まぁ!こんな田舎でお目にかかれるなんて!
娘がファンなんですよ!!
娘に自慢しちゃおうかしら!」
「ふふっ。ありがとうございます。」
「それで……うちに何か、ご用かしら?」
ってことは…
恵麻のお母さん?!
オレは慌ててサングラスを外して
深々と一礼する。
「以前、お嬢さんの恵麻さんと
お付き合いさせていただいていた
増田貴久と申します。
仕事の都合でどうしても一度、
離れなくてはいけなくて…、」
「……そういう、ことだったのね。
増田さん、お顔を上げて?」
「はい…。」
「まず、娘はまだ独身です。」
目頭が…
ジワッと熱くなるのを感じて。
「彼氏までは…、ごめんなさい。
いい年ですから、詮索することもしませんし
ちょっとわかりかねますけど…。
ただ、8年前に東京から帰ってきて
山の上にアパートを借りて
一人で暮らしています。」
……山の上…って…?
「それって、もしかして…
お墓の、近くだったりしますか…?」
「そうなのよ、お墓の近くだなんて
あんまり良くないんじゃない?
って言ったんだけど、聞かなくて…。
ホント、頑固なんですよ。
あの子は。笑
きっと、貴方にも
たくさん迷惑かけてたんでしょうね…
ごめんなさいね?」
「ふふっ。大丈夫です。
オレの方が…、頑固なんでw」
「ふふっ。そうなんですか。笑」
これは…恵麻もずっと、
オレのこと……って
自惚れても、
いい…の……?
「……ハンカチ、どうぞ。
娘は…本当に、幸せ者ですね……。」