第1章 【Forever mine:増田貴久】
マネージャーがホテルの手配をしている間、
オレは美容室の予約をした。
アイツがちらつく自分の姿のまま
何事もなく過ごせるほど
オレはドライじゃない……。
ホテルでも眠れたのか眠れてないのか
よくわからない睡眠しかとれず、
ボーッとした頭のまま美容室に行き、
その足で仕事場へと向かう。
オレが楽屋に着くと
既に3人とも揃っていて、
オレがドアを開けた音に反応して
一斉にこっちを向く。
増田「……おはよ。」
手越「あ、増田さんおはよ!」
小山「まっすーお疲れー。」
加藤「……おう。」
3人ともオレの髪に視線を送っている。
でも、誰も何も言わない。
それがオレ達の暗黙のルールだ。
まずいな……。
オレが雰囲気を悪くしてる…。
その証拠にさっきまで雑談してた3人が
だんまりを決め込んでいて。
申し訳ないなとは思うけど、
オレはまだ
そこまでオトナにはなりきれないし
吹っ切れてもいなくて…。
増田「……始まるまでまだ時間、
あるよね?」
加藤「あと15分くらいしたら
呼びに来るって。」
増田「わかった。サンキュ。
その頃には戻るわ。」
そう言って
楽屋を後にするまっすー。
小山「……増田さん、だいぶヤバイね…。」
俺も手越も小山さんのその言葉に
答えることはなかったが、
想いは同じだった。
加藤「まぁ…、
俺らがどうこうできる問題じゃないし、
踏み込める問題じゃないからな。
俺らはいつもどおり過ごして…
まっすーを信じて待つしかないよ。」
小山「そうだな…。」
手越「……なんか、オレって無力だよな。
まっすーはホントに弱ってるときは
シゲを頼るんだな。
オレは支えてもらったのに、
オレって……
増田さんにとっての何なのかな…。」
加藤「ちょっと!
手越がそんなん言い出したら
ややこしくなるから止めてよ。笑
詳しくは言えないけど、多分、
まっすーは暫く俺を頼ると思う。
思うけど、
それは俺を一番信頼してるとかじゃなくて
もう1個違う感情が乗っての事だから。
変なヤキモチ妬いて
勝手に拗らせるんじゃねぇぞ?」