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【報道系】夢小説

第1章 【Forever mine:増田貴久】






その日の仕事を終わらせて帰ると、
誰も居ない部屋から
改めて現実をつきつけられる。


彼女がいるはずなんてないのに
そうせずにはいられなくて
部屋中を隈無く探す。


アイツのことだ、
ひょっとしたら
忘れ物をしているかもしれない…。


そんなことを思いながら。









「……そんなわけ、ないか。」


抜けてるキミのフォローをしたり
世話をしたりするのも
愛しくてたまらなかったけど。


キメドコロは外さない
キミの嗅覚も
たまらなく好きだったんだ…。


キミの姿を探し求めたオレは
脱衣所に行き着いて。


鏡の中には
キミが好きだと言っていた
前髪を伸ばした黒髪のオレ…。


「昨日、ここに映っていたのは……
恵麻だった…?」


鏡の中のオレが泣いてる……。


「うわぁぁぁあああ!!!!」


気がついたら
オレは鏡を叩き割っていて。


オレの拳からは
鮮やかな血が流れている…。


でも、不思議だね。


ちっとも痛くないんだ。


キミを失った心の傷に比べたら


こんなの、


なんでもない―――。

















流れ出る血を洗い流し、
マネージャーに連絡すると
直ぐに向かうとのことで。


助かった…
こんなところに一人でなんか
居られない……。


程なくして、インターホンがなると
モニターには血相を変えたマネージャー。


「失礼します! 大丈夫ですか?!」

「わりぃな、面倒かけて。
大した傷じゃないんだけど
玄関先じゃなんだし……上がって。」

「失礼します!!」


なんか…いつもより声でけぇな。


でも、今はうるさいくらいの方が
正直、助かる…。


いつのまにかオレの拳は消毒され、
包帯が巻かれていて。


「ありがとう。……てか、大げさw」

「…もう無茶しないように、
あえて、です。」

「言うよねぇw
まぁ、でも…アイツもこんなオレじゃ
心配するだろうし…、気を付けるよ。

でも、この家じゃ…、
悪いけど、無理。」

「…引越しの、手配をします。」

「うん。なるべく早くお願い。
あと、それまではどこかホテルとって。」

「わかりました。」



ここには、
思い出がありすぎるんだ……。


とても独りでなんか暮らせないよ


恵麻―――。









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