第1章 【Forever mine:増田貴久】
「なんか、お腹すいちゃったね。
お昼ご飯は餃子にする?笑」
「えっ?!いいの?
お昼から好物作ってくれるなんて
最高に贅沢!」
「じゃあ、一緒に作ろ!」
「えっ?!作ってくれるんじゃないの?
ゴロゴロしながら待ちたい!w」
「え~?
大切に過ごすんじゃなかったの?w」
「そのワード、
印籠みたいに使わないでよ。笑
やるのはいいけどさ、
オレ意外と、包むのは上手いよ?
子供の頃手伝いしてたから。」
「ほんと〜?」
*
「確かに。私より上手くて早い…。」
「でしょ?オレはね、出来ないんじゃないの。
やらないだけなの。
案外、いい旦那さんになると思うよー♡」
「でも、オムツ開けてうんちしてたら
『うんちは無理ー!涙』
って呼んじゃうタイプでしょ。笑」
「さすがっ! よくわかってるね~w
あ、でも子供が恵麻に似てたら
できると思う!」
「いやいや、そこは絶対
差つけちゃダメなとこでしょw」
「冗談だよ。笑
恵麻との子供だったら
何でもしてあげちゃうと思うし…
泣き声にもイライラしない…ハズ!」
「それ、普段はしてるってことだからね。笑」
「心の中でちょっとだけだからね!w」
―――そんな未来なんて
2人には訪れる筈がないことは
わかっているのに。
想像のなかだけでも幸せな未来を
描いていたいだなんて、ね……。
「焼けたよー。」
「やった! いただきまーす!
美味ーーぃ♡幸せすぎる。
あれ?恵麻ちゃんは食べないの?」
「……うん、作ったら満足しちゃったかも。」
「恵麻ちゃん…
ちゃんと食べなきゃダメだよ?
はい…、あーん。」
「………うん、美味しい。」
「ちなみに、今食べた形のイイやつは
オレが包んだやつだよ!」
「はいはい笑」
なんでなんだろう。
少し前にツラい話をしたばかりなのに
居心地がいい。
恵麻と一緒にいると
いつもそう思う。
仕事で嫌なことがあっても
ツラいことがあっても
恵麻を感じながら
他愛ない話をしているだけで
それだけでまた、
頑張ってこれたんだ……。
ここにある幸せを手放して
それでもオレらしく
生きていく自信なんて
正直、今はまだないよ
恵麻―――…。