第1章 【Forever mine:増田貴久】
「……すいません。
やっぱりちょっと、
まる2日は厳しい…みたいで。。」
「すいません……わかりました。
わがまま言って、ごめんなさい。
でもやっぱり、
厳しくて、よかった……です。
思い出なんか
作らない方が
きっと、楽だから……。
1週間で気持ちと、
身辺整理をします。
だから……、
安心してください。。」
そう…
言い終わると
ギリギリのところで
我慢していたであろう
涙が……
彼女の
頬を
伝って―――。
「あの……。
大丈夫…ですか?」
「……その質問に、
意味がありますか…?
大丈夫じゃない
と言ったら……
別れずに、済むんですか?」
―――彼女の、
言うとおりだった。
「ご……ごめんなさい。
八つ当たりしてしまって。。
加藤さんは
何一つ、、悪くないのに。
むしろ私達が、
迷惑をかけてしまっているのに……。」
「違うんです。
あの……
謝らないで下さい。
お2人が悪いわけでも、
勿論、なくて……。」
彼らの気持ちを想うと
言葉にならない悔しさを
心の奥にしまった。
「お話は…わかりました。
わかりましたから……
ごめんなさい。
もう、帰っていただいても
大丈夫、ですか。
ちょっと今は…、
人の気持ちまで思い遣れる
余裕が、
持てません……。」
そう言いながら
肩を震わせる彼女に
かけられる言葉なんか
みつかるはずも、なくて。
俺は深く一礼をして
その場を後にした。
玄関を出てしばらくは
動き出す気になんか
到底、
なれるはずもなかった俺は
扉にもたれかかる……。
「……こんなに
後味悪い役回り、
二度と、
ごめんだわ。。」
一言、
そう……呟いて、
彼らのマンションを
後にした―――…。