第1章 【Forever mine:増田貴久】
―――扉が締まる音が
呼び水となって
涙が溢れて
とまらない……。
ひさくん。
約束、
守らなくて
ごめんなさい……。
貴方が、
私を守ろうとして
取り付けた約束なのは
分かってる。
だけど……、
私も私で
守らせてほしいの。
貴方を―――…。
貴方が
人一倍
"増田貴久"
という存在に
誇りと情熱を
注いでいることを
一番近くで
見ていたから……。
それが、
私が始めから
決めていた覚悟。
だから、
この決断を
後悔する日なんて
くるはずも、
なくて。
だけど…、
だから、せめて……、
じきにくる
別れの日までの数日間を
できる限り
大切に過ごさせて―――。