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【報道系】夢小説

第5章 【It's you:加藤成亮】






「成亮さん、おかえりなさい。
……先にご飯にしますか?」

「あぁ、ごめん…
あんまり腹減ってなくて。。」


沈黙が、気不味くて
早々に話を切り出す。


「あの……昼間の話、なんだけど…。」

「……はい。」

「忘れられない人が……いるんだ。」

「………はい。」

「……やっぱり、驚かないんだね。キミは。。」

「……私、貴方の愛を全て手にした実感は
たった一度しか、ないんです。」

「……一度?」

「私が……祐也を産んだときです。」


ふふっ…と、哀しそうな笑みを浮かべながら、
彼女はきっぱりと、そう答えて―――。


「私はあの子を身籠ったとき、
産ませて下さいと貴方に頼みました。

そう頼まれたら優しい貴方は断れない。
そう…思ったから……。」


震えていく彼女の声に、
必死に気付かないフリをして…。


「私は……、貴方の優しさを利用したんです。

だから…申し訳ないだなんて思わないで。
私をこれ以上…惨めなオンナにしないで。

私、、貴方が思ってるよりずっと、
ズルいオンナなんです。」


そう言いながら、
肩を震わせる彼女に


手を伸ばしてしまいそうな
自分の拳に力を込める。


「……キミは…僕には
勿体無さ過ぎる女性だった。

本当に、そう思ってるんだ。
キミになら安心して祐也を任せられる。

普通だったら…過去なんか忘れ去って
キミが作り上げ続けてくれていた
ここにある幸せに浸れたハズなんだ。

そう思うくらい
幸せと安心感がここにはあって…
それは、嘘じゃない。」


唇を硬く結んで
俯いたままのキミ……。


「悪いのは全部、俺だ。

俺はどうやら…
『忘れる』っていう
自己防衛機能が欠落した欠陥人間らしい…。」





無責任な優しさほど、
残酷なものはない…


と、自分に言い聞かせながら
できるだけ、淡々と。













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