第5章 トラウマ
『きょーかん…このまま聞いて貰ってもいいですか?』
篤「ん」
『あの事件の後、父方の祖父母に引き取られて、しばらくこっちに住んでたんです。』
篤「うん」
『当時祖父母の家には弟夫婦が住んでいて、最初は良くしてくださってたんですけど…周りから好奇の目で見られるようになるうちに、虐待みたいなことされるようになって…』
篤「!」
『けど、仕方がないから我慢してたんです。たまたまわたしのことを訪ねて来てくれた司令が、異変に気付いたみたいで…そのあと母方の祖母に引き取られました。たぶん、それが原因で今みたいな症状が起こるようになったんです』
教官の抱きしめる手に力が入る。