第5章 トラウマ
しばらく歩いて影になってるところで
『……っはぁ』
ズルズルと通路の壁にもたれてしゃがみ込む。
白くなった手先を見て情けなく思った。
『なんでわたしがこんな気持ちにならんとあかんのよ…』
思わず苦笑する。
モヤモヤしたような嫌な気分。
篭った空間、
厳しい言葉の数々、
怒鳴りつけるような声、
批判的な目…
頭がガンガンする。
時たま起こる、この症状…
動悸が激しくなって血の気が引く。
いつもは気を張ってるから、叱った声とか大丈夫なんだけど、さっきはタイミングが悪かった。
『ふぅ…』
深く息を吸って吐く。
とりあえず落ち着くまで目を閉じて…
「ここにいたのか…っ」
視界に息を切らした堂上教官が現れた。