第4章 追加訓練
俺自身も、自然と受け入れていたぐらい、香はすんなりと相手の中に入っていく。
裏で香を取り合っていたやつは数知れず。
…まあそういう自分も当時、香に惹かれていた一人だけど。
ある日の放課後に静かな教室で、いつも笑っている香が泣いている姿を見た時があった。
後々聞いてみると、その日は両親の命日だったそうだ。
今ならわかる。
命日とは「日野の悪夢」が起こった日だということ。
俺の親父がその関係の仕事をしているから、香の過去について詳しく知ることができた。
そして、この仕事に就くことを目標にしていることも“お互い”知った。
目的を果たすために、俺たちはやるしかない――そんなことを……
『光!ちょ、あんた!聞いてんの?!』
光「あ、わり。どした?」
『もー・・やから、郁のこと!目の敵にしすぎって言ってんねんけどっ』
光「あー…それはどうにも。俺はあいつのこと気に食わん」
俺はそう吐き捨てる。
香はそれを聞いてため息ついた。