第2章 郁の王子様
店先に着くと同時に郁の怒鳴り声が響き渡った。
わたしたちみたいなぺーぺーが振りかざしてもしょうがない権限…
郁は “見計らい図書にする” って大声で叫んでた。
『バカ郁』
そのあと、良化隊員たちの笑い声が聞こえてくる。
とにかく急いで中に入ると、郁が倒れこんできた。
『―――っ!』
突然のことで、身構えをしていなかったから、そのまま倒れそうになったところを誰かが受け止めてくれた。
「佐々木、大丈夫か」
『!』
耳元で優しい声がする。
その声の主は紛れもない教官の声で…
篤「遅れたが、二等図書正二名と三等図書監一名だ。不足あるまい」