第2章 郁の王子様
篤「……そんな顔してたか?」
『え?……なんとなく、ですけど。』
篤「そうか。俺はそれよりも、佐々木に怪我をさせたことが…」
頭に手が伸びてきて、その手はいつもよりも優しくなでる。
『わ・・・』
篤「悪かったな、痛かったろ?」
そう言う教官はすごく心配してくれてる。
今まで見たことのない表情で…なんだか顔が熱くなってきた。
『きょ・・教官』
篤「ん?なんだ」
『い、いえ、なんでも…大丈夫です。ありがとうございます』
ふいっと顔を逸らす。
じゃないと、顔が赤いのがバレちゃいそうで。
篤「なんかあったら言え。いつでも替えてやるから」
『これくらい、1人でできます!』
篤「そうか」
そう言って教官は笑いながら医務室を出ていった。