第2章 郁の王子様
急いで中に入ると、郁が男が持っていたカッターナイフを払ってこちらを向いたところだった。
郁「蔵書損壊容疑の現行犯です、確保しました!」
その瞬間、カッターを再び掴んだ男が飛び上がる。
「アホか貴様!」『ばか郁!』
郁の腕を引き、男に回し蹴りをした。
『――っ』
男が倒れたとき、手に持っていたカッターが足をかすめてスパッと切れたような気がしたけど、そんなの関係なしに馬乗りになり、拘束用の手錠をかける。
『…っし。』
確保の報告をしようと顔を上げると、教官が郁の頬をパシンッと叩いた瞬間で…思わず息を飲んだ。