第1章 はじまり。
郁は関東でも稀だって聞いてなんか照れてる様子。
『で、郁の両親はいずれ働いているとこ見にくるとか言ってるんやっけ?』
郁「そうなんだよー…憂鬱」
麻「それにしても、香と笠原は図書司書の資格持ってるのに、なんで防衛員を希望したのよ」
また急に話が逸れて、郁は“げっ”と言う顔をしてからワザとらしく腕に手を添える。
郁「あっ、イタタタタ…クソ教官にキメられた腕が痛いから先に帰る!」
そういって郁は足早に寮へ駆け込んだ。
麻「笠原…ウソが下手ね。で、香は?」
『…復讐』
強いて言えば…ね。
心の中で付け足す。
麻「え?何?聞き取れなかった」
『またいずれ話すよ』
腑に落ちない麻子の顔を見てわたしは笑ってごまかした。