第11章 モテ期
ふと、高校の時を思い出す。
『そういえば、昔…』
篤「ん?」
『…わたしの後をつけたり嫌がらせしたりしてくる人がいて』
教官がわたしを見る。
『そのときも、今みたいに光が彼氏役をしてくれて、知らないところでその相手に……そのあと嫌がらせとかもぱったりなくなって、一件落着。坂巻くんがさっき色々言ってたから…』
篤「そうか…重なる部分があるんだな」
思わず目線を下げる。
脳裏にナイフを振りかざした坂巻くんが浮かぶ。
震えそうになったところに
篤「でも、もう大丈夫だ」
『…え』
篤「大丈夫だ」
優しい声がわたしを包む。
頭の上に置かれた大きな手からは暖かいぬくもりが。
たったそれだけのことなのに、安心してしまう。
本当にわたしは教官のことが好きなんだなって改めて思った。