第10章 我慢
『―――っなんで、あんなことを・・・言われなきゃ・・っ』
教官は黙ってわたしを抱きしめる。
『く・・くやしぃ・・・っ』
篤「香・・・」
ぽんぽんと、頭をなでるその手に安心し、余計涙が流れた。
何分経っただろうか。
落ち着き始め、この状況が恥ずかしくなってきた。
『教官・・・』
篤「ん?」
『も、大丈夫です』
篤「ふーん」
さっきよりもギュッと力が入る。
『えぇ?!』
また力が入る。
『ちょ・・・っ』
いい加減苦しくなってきて、思わずわたしも腕を背中に回し力を入れる。
『んぎぎぎぎ・・・』
すると、教官がふっと笑い力を抜いてわたしの頭をなでる。