第10章 我慢
稲「犯罪者に対して法を守る必要はないと仰っていますよね。それが許させるものならそうしたいと思う人はこの世に多いでしょうな。個人に対して法が守られないという状態は、犯罪者にとって最も苛烈な罰でしょうから。法事国家としての日本がそれを許すのなら私は喜んで情報提供を関東図書隊の議事にかけましょう」
部下が怪訝な顔をして首をかしげる。
『つまり、司法が法を犯せと命令するなら従うといっているんです』
上司「分かりました。それでは図書隊は捜査協力を拒否すると解釈させていただきます」
上司はそう言って立ち上がる。
部下はその様子を見て同じように立ち上がった。
2人は司令室を出ようとする。
上司の男は振り返った。