第9章 声
しばらくして一通り波が過ぎたのか、深呼吸して教官が顔を上げた。
目にはうっすら涙が滲んでる。
篤「あれだな、レアなやつが聞けたってことだな」
『そうですね、レアですレア』
いや、今の教官のがレアやんかレア!
そう思いながら配架台を教官の元へ持っていく。
そして教官は配架作業をするため、わたしに5冊ほど図書を渡した。
篤「前に言ったの覚えてないか?」
『え?』
篤「訓練の時に言葉崩してもいいって」
『あ…そう言えば』
リペリング練習の時言われたな
「素のお前がいい」
って…
『!』
記憶の教官が同じことをタイミングよく言うもんだから、思わず顔が赤くなる。
篤「ん?どした?」
『い、いや「あ!ここにいたっ佐々木!」
郁がわたしを見つけて駆け寄ってきた。