第9章 声
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何か言いかけてた香から視線を笠原へ向ける。
郁「佐々木ちょっと端末操作を見てほしいんだけど」
『ん?どしたん?』
郁「間違って他館にリクエストかけちゃって」
香が『それなら…』と移動しようとしたところ、すかさず手を引いた。
『わ』
「…一回聞いて覚えられなかったことは手塚に聞けと言わなかったか?」
俺がそう言うと笠原は顔をしかめ、そのままの顔で手塚のもとへ肩を落とし戻って行く。
「なんだあれは」
『きょ、きょーかん』
そんな声を聞き、視線を下げると香が俺の腕の中にすっぽり…要するに俺が後ろから抱きしめている状態になっていた。
さっき手を引いたときに勢いあまったか。