第9章 声
テレビから流れてきたのは連続通り魔殺人事件の容疑者である高校生が捕まったというものだった。
その高校生の部屋を映し出す。
パソコンの周りや本棚をカメラが舐めるように映していく。
『あ!』
その本棚に見覚えのあるタイトルの本があった。
高校生向けの《望ましくない図書》として教育委員会リストに挙がっていたもので、良化委員会の検閲対象も入っているホラー作品。
『そういうことか…』
[ああ]
『ホラー小説で殺人犯が増えるなら13日の金曜日はどうなるねんって』
[ジェイソンだらけだな]
『ふは!ほんまそれ!』
堂上教官も電話越しで笑う。
砕けすぎた言葉に内心やめなきゃと思いながら、でもこの普段聞けない笑い声が聞けるっていうのが何とも心地よくって…
なんか、幸せ…!
そんなことを思っていると、近くに人影が。