第9章 声
そう言えばここは自分の部屋じゃなかった…!
チラッと目だけ動かして確認すると近くにいたのは麻子。
しかもニヤニヤと笑いながらこっちを見てる。
わたし今まで通りの表情で声のボリュームだけ抑え、距離を離そうと後ずさりを試みた。
[・・・明日から忙しくなるぞ]
『ん…』
後ずさりしたけど、距離を詰めるのが早かったのは麻子の方で。
相手の声で誰からの電話かわかった麻子は更にニヤニヤ笑ってみせる。
[あー…まぁなんだ、何かあったらすぐに話せ]
『うん、ありがと…ございます』
わたしはじりじりと麻子から離れようとするがなかなか上手くいかない。