第9章 声
数日後、勤務を終えてわたしは郁たちの部屋へ向かう。
部屋の前でドアノブを引こうとしたらスマホがなった。
名前の表示も見ずにスライドする。
最近身につけた技で、画面を見ずにスライドできた瞬間こっそりドヤ顔するのがわたし的ブーム。
『もっしもーし』
かめよかめさんよ〜なんて心の中で歌ってみたりなんかして。
[……気抜きすぎじゃないか?]
この声は―――堂上教官。
しまったと思ったが誤魔化すこともできないので、この際。
『もう勤務時間外やねんもーん!・・・なーんて』
[あほか]
そう言いながら電話の向こうで笑う声がして、なんかくすぐったくなる。
[それよりも、テレビ見ろ]
『え、テレビ?』
おもむろに部屋のドアを開けると、さすがに驚く2人。
わたしはお構いなしに部屋に入りテレビをつけた。