第8章 初めての襲撃
光「おい!!命令と違うだろ!」
光の声が咎めるが、わたしたちは足を止めない。
郁「柴崎が館長室だっつってんのよ!」
『麻子はこんな時に意味ないことなんて絶対言わへん!』
光は迷いを見せながらもわたし達について来る。
走りながら手探りで無線を操作して
『佐々木一士より堂上二正へ、館内職員の警告を入れ持ち場を変更。館長室へ向かいます』
声を抑えて静かにそう伝えた。
非常階段を駆け上がり、扉の前でわたしと光は拳銃を構える。
そして郁に扉を開けさせ、2人で飛び込む。
確認するが敵はいない。
少し息を吐き、落ち着かせるように郁へ声をかけた。
『郁、敵の数が分からんから気抜いたらあかんよ』
わたしが言うと郁は緊張した面立ちで頷く。
そして光に目配せし、館長室へ静かに歩みを進めた。