第7章 グレー
『館長代理が図書館法第31条に抵触する行為を行っている可能性があります』
わたしの言葉に、全員が真顔になる。
『館内整理からわずか1ヶ月余りで15冊も所在不明図書が発生し、その図書はすべて教育委員会からの“望ましくない図書”の指定を受けています』
麻「で、これです」
わたしたちはテーブルの下から紙袋を取り出した。
麻「書庫から館長代理が出てきた後に閉架書庫を探したら出てきました。問題の所在不明図書、15冊すべてありました」
小「多くない?18冊あるけど」
尋ねてきたのは小牧教官。
『念のため“望ましくない図書”指定を受けたすべての本の複本まで調べてみたんです。そしたら貸出記録がないのに所定の場所になくて所在不明になってて…その分も閉架から見つかったので持ってきました』
郁「え……要するに、館長代理が蔵書隠蔽したってこと!?」
郁が声を荒げると、玄田隊長が難しい顔で呟いた。
玄「状況としてはグレーだな」
わたしと麻子はうなずく。
それに対して郁がまた声を上げた。