第7章 グレー
麻「んー…やっぱりないわね」
『端末で探してみても、貸し出してはないみたいやし…』
わたしたちは思わず項垂れる。
『全部で15冊ってどう考えても多すぎる』
麻「うん。そしていくらなんでも、ここ1ヵ月っていうのがありえないわ」
リストを眺めていると、脳裏に何かがよぎった。
『…ねぇ麻子。なんかひっかかるんやけど…』
麻「え?」
『これ…見覚えのある並びな気がする…』
麻「それ、あたしも思ってた」
頭の中でその何かを探していると、急に“バタン”と音がした。
『警備?』
麻「時間が早くない?ちょっと見てくるわ」
『麻子、危ないからわたしが行く』
音がした方へ向かう。
静かにドアを開けるとそこには防衛員ではなくて
『あ、鳥羽代理』
鳥羽敏雄館長代理がいた。
鳥羽代理はわたしの顔を見て一瞬表情が険しくなった。