第5章 トラウマ
『……はぁっ、やっと終わった…!』
時計の針は19時をさしている。
閉館の時間。
午後の業務の結果は、郁が受け持っていた他館のリクエストで出庫したのが三割程度。
皮肉を言うだろうなと思っていた光もぐっと堪えている様子が伺えた。
篤「残ったぶん、分けるか」
堂上教官が人数分に分けていく。
郁の分だけ少なくしていて、やっぱりできた上司だって思うわたし。
郁「堂上教官、どうしても見つからなかった本があって後回しにしてたんです。だから残った伝票の中に何冊か見つからない本があるはずです」
郁からの言葉を聞き、わたしも探す。
結局、本が見つからず…