第2章 そういうところが好きじゃないんだ
いいわけがない。
なぜそんなことをしれっとこちらに聞けるのだろう。ああ彼はやはり変なヤツだし、私は彼が嫌いだ…。
そんな私の気持ちも知らずに、彼はブラに手をかけはじめた。わざわざ問うたくせに、こちらの返答を聞く気はないらしい。あるいは私が何も言えずにいるのを同意だとでも思ったのだろうか。
「い…やっ」
私が身をよじったのがかえって助けになってしまったようで、伊豆くんはスルリとブラのホックを外してしまった。世の男性はブラのホックを外すのに難儀すると、聞いたことがある気がするけれど…伊豆くんという人間は変に器用なのだ。それがまた恨めしい。
彼の呼吸がまた荒くなる。伊豆くんは意を決したように、ブラを私の首元まで引っ張り上げた。
人より少し豊かな私の胸が、たゆんと大きく揺れて出てきて、まるで彼を誘っているみたいだ。伊豆くんの目がそれに釘付けになる。恥ずかしくて恥ずかしくて、私は手で顔を覆ってしまった。
「桃浜の…おっぱい…。凄い、本当に…」
そういうと彼は私の胸を鷲掴み、ぐにぐにと揉みしだいた。
「こんなの…触ったことない…、柔らかくて、気持ちいい…、桃浜…」
私だって、他人に自分の胸を触られるのは初めてだった。自分でふにふに触っているのとは全く違う。強く、荒く、欲をぶつけられているのだ。
「桃浜…食べたい。食べていいだろ」
えっ、と私が声を上げるより先に、伊豆くんは私の胸に吸い付いた。